自転車競技でチューブレスタイヤが市民権を得てまぁまぁ久しい。
これは、各メーカーが様々な個性のアイテムを登場させているほか、プロ選手もその優位性(もしくは利便性)に気がついてレースで使用し出したのが理由でしょう。

とはいえ「チューブレスタイヤがはまらない」「ビードが上がらない」など、タイヤによって(?)トラブルがあることは知られています。自分はCXでかなり色々なタイプのチューブレスを使ってきて知見もそれなりにあるので、そのトラブルの原因と解決方法をここで紹介しておきたいと思います。

チューブレスタイヤのトラブルで多いのは、やはり組み付け時・はめ換え時、ビードの問題かと。クリンチャーの場合、空気が密閉されたチューブが膨らんでビードを外側に押しやるため何も問題にならない。一方チューブレスは、ビードを押しやるのは密閉されていない空気になるため、組み合わせによってはエアが漏れたり、トラブルが多い。

原因となるのは大まかに以下の通りだと思います。
① タイヤ側のビード径とリム側のビード径
② リム側のビード形状
③ ビードの滑り

①ですが、信じがたいことに自転車チューブレスタイヤのリムビードに決まった規格のようなものは存在していない。つまり、タイヤのビードも、リムのビードも、メーカーによって径(サイズ)や形状が異なっているわけです。

例えばビード径が小さいタイヤと、ビード経が大きいリムを組み合わせれば(ビードが窮屈で)上がらない。
逆に、ビード径が大きいタイヤと、ビード径が小さいリムを組み合わせると、ガバガバになってエア漏れして上がらない。

なんとも。

メーカーも商品をアップデートするので、新製品でどうなっているかは全くわからないですが、僕の印象だと、Stan’sはビード径がデカイ、Mavicは普通、SHIMANOはビードは普通かデカいがタイヤを落としておくセンターの堀が深い印象。
タイヤ側でいえばIRCはビード径が小さく、Panaracerはやや大きい。メーカー側がどのリムを基準にビード径を設定しているかという違いでしょう。

つまり、組み合わせによっては元々かなり苦戦を強いられるといえます(例えばPanaracerとSHIMANOとか)

②のリム側のビード形状。これは僕の知る限りだとMavicのUSTが典型的で、タイヤが外れにくいようにビードが山→谷の構造になっていて、ビードが乗り越えづらくなっています。タイヤを取り付けるときは、空気圧を(規定範囲内で)高く入れればビードを乗り越えてくれるので良いのですが、逆にビードを落とすときに苦労するケースが多いです。特に最近流行りのインサートを入れたときは地獄を見ることとなるはず。

③は割と基本的なことですが、リムとタイヤが踏ん張ってビードが持ち上がりづらいこともあります。市販の潤滑液でも良いですが、食器用洗剤と水を混ぜた物を塗るくらいで良いと思っています。タイヤが上がりづらいときの盲点で、基本を大事にしましょう。

ところで僕は普段自動車整備工場に勤務しています。自動車のタイヤ交換はときどき死人が出る(だいたいタイヤが暴発する)危険な作業で、作業の段取りというのはとても大事にされている。ビードに潤滑剤(この場合はクリーム)を塗ったり、タイヤのビードを上げる作業が難航した際は、空気圧に頼らずにアレコレ試すもの。しかし難航する理由の多くは、規格通りに製造できない安物タイヤメーカーや、安物ホイルメーカーのせいだと思っています。

そういう意味で自転車のビード径規格がまちまちなことには割と憤慨しています。この過渡期をすぎればもう少し基準がはっきりしそうですが「チューブレスタイヤがあがらない〜」と嘆くツイートを見かける度に悲しくなってます。

閑話休題。

問題の解決策としては以下の通りかと
① タイヤとリムの組み合わせをある程度理解する
② リムとタイヤのビードに潤滑液を塗る
③ チューブレス用タンクと、コア抜き
④ その他の裏技

①は経験値がモノをいう。初見で「上がりやすそう・・・?」かどうかなんてわからないし、できればお店で買って、お店で聞きましょう。

② トラブルの欄、③でも記載したが潤滑用の液はたっぷり塗っておきましょう。

③ 自宅で作業を行うなら、チューブレス用タンクは必須。GIANTやSpecializedなどから安めのものが出ています。あとはコアを抜いてやるのも大事。チューブレスのビード上げは空気を贅沢に使うのがポイントな気がしていて、そういう意味でもMAKITAの電動空気入れはいいぞぉ・・・

④ ③まではチューブレスの平均的な作業工程ともいえますが、これでビードが上がらない場合は一度タイヤを外して追加の作業をすることで問題を解決することができる(場合が多いです)。定番はチューブレステープの追加。リムのビード径が低いまたはセンターの堀が深い場合はテープを追加して径を物理的に大きくしてやることができる。テープのセンターはリム側にピッタリ合わせず、ビードの肩に合わせてまっすぐ貼り付ければ良いと思います。どのみちチューブレス状態になった際、内圧でリム側に貼りついてくれるため。

それでもダメな場合は、一度チューブレスのバルブを抜き、チューブを入れてクリンチャーとしてタイヤを膨らませる方法もあります。クリンチャーで使えという意味ではなく、これで一度強制的にビードを上げ、片側のビードのみ落としてチューブを抜き、再度チューブレスに戻して空気を入れる。これならビードを上げるのが片側で済むし、タイヤとリムの組み合わせが悪い場合は効果が高いです。


ということで、つらつらと書いてみました。

チューブレスタイヤのトラブルは、
・起こりうることを予測して先に準備しておく
・よく観察してトラブルの原因をはっきりさせる
・根気良く丁寧に作業する

で、割と解決することが多い印象です。

そんなことよりも、こうやって普段考えていることを気ままに文章にできるのはいいもんです。
SEOで情報として残るし、今後もたまに書いてみようと思います。

ロード、シクロクロス用チューブレスタイヤのはめ換え時トラブルを考える

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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