東海シクロクロス 2016 by KeiTsuji
シーズンを間近に控えたシクロクロス。未舗装の悪路を突破しながら周回を重ねる風変わりなこの自転車競技も、じわじわとその名を広め競技人口も増えて来ました。長時間に及ぶエンデューロレースやMTBレースに比べ、会場への移動や拘束時間など敷居の低さが大きな理由でしょうか。
競技を始めるにあたって、マシン選びもひとつの魅力と言えるでしょう。フレームのカラーリングから材質、ホイル、タイヤ、ブレーキの種類も大事ですね。これら機材の中でも、部品個々ではない、大きな決断として最初に立ちはだかるのが<シングルスピード>という選択肢です。
Falconer SSCX by Oguuu
シングルスピードシクロクロス、通称<SSCX>。興味のない人にとっては悩む必要すらありませんが、初期コストの安さや見た目のシンプルさから、これからシクロクロスをやってみようと言う人には使用感など、とても気になるところでしょう。
kossy with sscx by dsk24
SSCXを一台目のマシンとして迎え入れた僕が、購入前に気になっていたこと、走ってみて気付いたことを交えながら、シクロクロスをシングルスピードで楽しむ為の4つのヒントを書き起こしてみます。
【購入前に気になっていたこと】
<ギア付きか?シングルか?に対する迷い> 僕は自転車競技歴16年、MTBはXCにDH、BMXストリート、ピスト、ロードでのロングライドなど一通りの自転車には跨がって来ました。故に何となくSSCXの概要は掴んでいたと思います。シンプルなのと、BMXをバックボーンとしている自分に合っている、そう考えました。
しかし、既にレースへ参加している仲間に相談すると賛否両論。「シングル似合ってるじゃん!」「どうせギア付き欲しくなるよ」「壊れ難そうだね」「少し出せばギア付き手に入るよ」相談すればする程、自分で結論を出す事が難しくなりました。
最終的にはRapha Japan、親愛なるmotogさん鶴の一声「(SSCXでもシクロ)全然いけるっすよ!」に後押しされ購入に至った次第です。ギア付きが良いかシングルが良いかは水掛け論のようなモノで、結局は本人次第でしかありません。特にギア付きしか乗ったこと無い人にアドバイスを求めるのは止めましょう。
最上位クラスのC1でトップを狙うというのであれば最初からギア付きで上級グレードの自転車を用意するべきでしょうが、先ずはレースに出たい、シティユーズも楽しみたい程度であればSSCXで全く問題ないと思います。ギア比さえちゃんと考えればギア付きに対する劣りはそれ程酷くないですし、メリットも沢山あります(レースや週末ライドでの出来事は後述)充分レースを楽しむことが出来ます。
大事なことは、SSCXでシクロクロスにチャレンジするんだ!という本人の想いを尊重することですし、何であれ新しいことを始めようとする気持ちに素直になることです。
【購入時に気付いたこと】
<気になるコスト面は・・・?> よっしゃSSCXでシクロクロスを始めてみよう!そう思ってから購入まで、そう時間は要りませんでした。シクロ車であっても、シングルスピードというだけで選択肢の幅はぐっと狭まるからです。思いつくのは、Surly、Fairweather、MASI、ALLCITY、BMXレジェンドTajが作ったFairdaleなんてのも。比較的オシャレでアーバン色が強いブランドばかりですが、どれも10万~20万の幅で完成車を購入出来ます。さすがに各社SSCXにグレード幅は持たせず、大体同じような仕様に仕上がっているのです。
なので、見た目と色合いが気に入りさえすれば、あとはサイズにだけ注意すれば購入、という流れで問題ないと思います。
ちなみに僕は<ALLCITY Natureboy>というマシンを手に入れたのですが、11万円強の完成車に、ペダルはカチャっとはめるクリップタイプのモノ、フロントギアは38Tのモノに交換して貰いました(後述)。
それに、ヘルメット、ジャージ上下、シューズ、サングラスまで付けても5万円程、最終の支払いは16万円くらいでしょうか。あとは<スポーツエントリー>等で3000円足らずのエントリーフィーを支払い、早起きをすればレースに参加出来るでしょう。
ちなみに僕が<ALLCITY>を選んだのには理由があって、TumblrやInstagramで事前にSSCXの画像を掘っていたのですが、その際高級オーダーフレームに混じってALLCITYが美しい写真で紹介されていました。パーツもENVEカーボンを多用したハイエンドなもの、跨がるライダーが身につけているのもRapha。フレームはあくまで安価なクロモリなのですが、玄人からもこうやって愛されるブランドイメージに惹かれたのです。
【レースにて】
kossy at 桂川 by kikuzo
シクロクロスという競技は、都市近郊から然程距離のない場所で行なわれる周回レースを指します。故にロードやMTBに比べ、競技イベントに参加すること自体が勘所となります。
僕は今日に至るまで関西シクロクロス、東海クロス、讃岐クロスなど、計7戦のレースへ参加しました。全てがウェブでエントリーしてクレジット払い、又は当日払い。当日エントリーはありません。
参加への細かいプロセスは他のブログにお任せするとして、ここではSSCXならではの部分です。エントリー自体、SSCXカテゴリーの場合も時にはありますが、基本的には他のギア付きバイクと同じクラスで走ることになります。
<とっても気になるギア比> SSCXは当然ながら最初に決めたギア比で走りきることになります。SSCX仲間とも話をしますが、レース時は1.9~2.0を基本とすれば良いのではと思います。例えばフロントが38Tならリアは19T~20T。40Tなら20T~21Tという具合。ある程度普段から走り慣れていて脚力に自身のある方は2.2くらいまで大丈夫でしょう。実際僕は2.1111で今までのレースを走っています。しかし油断は禁物、レースで走る30分の間に間違いなく疲労が溜まって後半足が回らなくなるので、最初はギリギリ走れるギアより一個落として出走するのが吉です。なので必ず試走で何周回かしておきましょう。
でもどうやってギアを変えるのでしょう?それはバイク選びの際、リヤハブの形状に注目してみてください。大抵は左右にネジが切ってありフリーのコグが両方に付けられるようになっています。自転車購入の際は、最初付いているフリーに合わせてフロントギアを交換しておき、伴ってハブの反対側にもう一つ異なる歯数のフリーを付けましょう。こうすればホイルをひっくり返すだけでギア比を変更出来ます。
またはWhite Industriesからひとつのフリーに2枚の歯が付いているアイテムも出ています。僕も愛用していて、フロントは38T、リアは17-19のフリーと反対側に18Tを付けています。
また普通の多段ギア用ハブをシングルスピード用に使うことも可能です。通常のカセットをフリーから抜いて、好みのコグを一枚入れる。空いたスペースにはスペーサーを入れます。この時注意が必要なのは、コグに多段用の物を流用するとトルクが掛かった時チェーンが脱落する場合があります。必ずシングルスピード用のコグを使いましょう。
<レースは諦めが肝心> シクロクロスには<乗車率>という言葉があって、シケインや砂浜、階段など、どうしても乗って行けない区間を設けています。ありがちなのは無理にギアを軽くして乗っていこうとするパターン、ミスを誘発してしまいますし、後続車集団に巻き込まれればつっかえて余計にタイムとエネルギーを浪費してしまうのです。SSCXでデメリットとされる「ギアが重くて乗れない」ところは、ギア付き車でも変速にモタツイている場合が大いにあるので、さっさと諦めて担いで走りましょう。シクロクロスでは、乗り降りに対する早めの判断がレースの展開を左右します。ある種、SSCXは早めに僕らを諦めさせてくれる潔い乗り物とも言えます。
また、担ぎは後続車のリズムを崩すので、それはそれでメリットになるのです。担いだ自転車を下ろしたとき、振動でチェーンが落ちる、ギア付きだと良く有るそれもSSCXならありえませんよね。
さぬきCX by junya662
実際、レースに出てみて感じたこと。購入前に心配していた程ギア有りからのハンデは無いと思います。初心者であれど、どんどん上がっていく心拍の中、バイクコントロールからブレーキング、自転車の乗り降り=クリップペダルの脱着まで、レース中は頭と身体をフル回転させなければいけません。余計なストレスはなるべく少ない方が良いですし、ギアがあったからと言って初めから上手く使いこなせるなんてことはありえないと思うのです。
【週末のライドで】
シーズンを終えて、泥で汚れたバイクを洗っているとき。このバイクで少し離れた隣町までツーリングに出かけたいな、直ぐさまそう感じるでしょう。幸い僕は標高931mの六甲山を有する阪神地区に住んでいます。南北に渡る武庫川サイクリングロードを走れば、宝塚~有馬~六甲山頂と、50kmで1800mの標高を獲得出来ます。次のシーズンで良い成績を残す為にもなるべくこのSSCXで様々な場所に出かけようと考えました。
<Rapha Club Rideに参加してみて> 日差しが照りつける暑い日、Rapha Cycle Club Osakaが主催するClub Rideに参加しました。Club Rideには水曜開催と土曜開催があって、参加した水曜は割と楽なルートが選ばれています。店舗が位置する福島を起点に、神崎川を上って街を抜け、天満宮に参拝。自宅から自走で行ったので距離は60km弱で200mも登っていません。ギア比は2.23(38T/17T)、平たくは何ら問題ありませんでしたね。ペースを乱すこともなく、楽しく走れました。その時のログはこちら→ http://www.strava.com/activities/179474554
<ホームコース 甲山ピクニックロード> 武庫川サイクリングロードから仁川に抜け、住宅地のキツイ登坂を経て自然豊かなピクニックロードへ。そのまま関西学院を横目にまた武庫川サイクリングロードへ。30kmで350m強の獲得標高。その間、信号はたった5つ。正直15%を超える仁川住宅地の登坂は酷く辛いものの、それ以外はゆっくり楽しめます。ギア比は2.111(38T/18T)で走っていますが、殆ど問題はないですね。http://www.strava.com/activities/178681883
<六甲ループで山頂を目指す> この阪神地区では最高峰の六甲山頂へ。宝殿を通る表ルートは、いくらなんでも急斜度過ぎて登りきれるはずもないので、宝塚から船坂を経て有馬へ抜け、裏六甲を経由するルート。ギア比は僕のバイクでは一番軽い2.0(38T/19T)。正直平地では明らかに物足りなさを感じるものの、それでも登坂はギリギリ。1.9でも良いかなと。アドベンチャー感覚で休み休み登れば問題なさそうですが、グループライドでギア付きのバイクについていくのは難しいかも知れません。http://www.strava.com/activities/187661248
この他、長野は松本で美ヶ原を登ったりと、ギアと事前のルート確認だけしっかりしておけば大概路頭に迷うことはないでしょう。街中での使用であれば全くストレスが無いと言っても過言ではありません。
但し一点だけ。次のシーズンに向けてのロードトレーニングもSSCXでやろうと試みましたが、これは難ありでした。登坂にしても平地にしても、勾配やスピードに応じて負荷を調整する必要がありますが、ギアが固定なので一定の負荷しか掛かりません。ありがちなのは登坂に合わせたギア比チョイスをした為、平地で高ケイデンスになり過ぎ、全く負荷が掛からない、なんてことが。これはギア付きのロードでトレーニングを開始したことで気がつきました。
とは言え、トレーニングという名目を持たずとも、週末のライド~レースまで充分に楽しめるポテンシャルをSSCXは秘めていると思います。
kossy by 関西シクロクロス
ということで。僕がSSCXでレースを始めるに当たって気になっていたこと、気付いたことを中心に書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。やはり新しいことを、人と違う形で始めるのは勇気がいるもの。少しでもSSCXの魅力が伝わればと思います。
もう今月末からは関西シクロクロスも開幕となります。初戦、琵琶湖マイアミランドでお会いしましょう!
追記
その後、相も変わらずシングルスピードでレースへ参戦し続け、結果、トップカテゴリーへ昇格することとなりました。詳しくはこちらのポストをどうぞ
2015.12.02
おはようございます
初めまして
私はロードよりシクロクロスが好きで、乗るバイクは全部シクロクロスです。
ロードタイヤを替えたりして楽しんでいます。
でも最近はブロックタイヤで、走っています、
フロントを46、34にかえて、リヤのギヤーは12、25、でも最近はシングルギアーに興味が有ります。
出来ればフロントをシングルでリアはそのままで使いたいですけど‼
オールランダーのギアはナニがいいですか⁉
フロントとリアは⁉
13*、26*もあります。コンポはカンパのケンタウルです。
宜しくお願いします。