僕は年間20レースほどを8年、ざっと160レースを経験し現在関西シクロクロスの15%くらいの位置をフラフラ走っています。幸いレース中に転倒をして大きな怪我をしたり、転倒のせいでDNFしたことはなかったように記憶しています(代車を用意していないのでパンクなどのメカトラでDNFは数回あり)これはひとえに「試走の心得」を早くから先輩方に教わっていたからで、おかげさまで今も気持ちよくレースを走れています。

シクロクロスという競技は比較的安全なスポーツだと認識しています。それでも毎回落車は起こっていて、年間数名は骨折等の怪我をされているのを見かけます。では、どのように試走に取り組めばそういったリスクを減らせるのか?僕が先輩に教わったノウハウを書き止めておきたいと思います。

まず初めに。「特定のコースのこの場所は気をつけろ」は無しで。コースは時々変わりますし、新しいコースも増えています。それから「こういう乗り方をせよ」的な具体的なテクニックも無しです。人によって乗り方も重心も違うので、なんとも言えません。あくまで「心得」です。

1. 遅く走らなくて済むライン取りを探す

シクロクロスは競争です。速く走った人が勝ちます。なので「速く走れるライン」を探しがちです。しかし誰かよりも速く走るということは、結局パワーもテクニックも必要になります。そしてみんな速いラインを狙うので混線しがちです。

それよりも「遅く走らない」ことが肝要です。登りで頑張った2秒も、キャンバーの1ミスで全て失います。視点を変えて、自分がミスしそうなところを洗い出したり、コースを俯瞰して見て無駄なライン取りになっている場所などを見つけてみましょう。ミスが少ない=怪我も少ない。レースは「一番遅く走らなかった人」が勝つとも言えます。

2. 常にB案を探す

競争なので、誰かと競っています。ある程度は相手の挙動を見れば次の動きが読めるもんですが、それが複数人相手だと状況も変わります。対1人でも相手がミスすれば突拍子もないことが起きることだってあります。

それで、自分の狙っていたラインが塞がっていても前に進めますか?仕方なく通ったそのルートは試走で走っていますか?レースを見ていると、急遽通ったラインでミスをするケースが散見されます。まさかと思っても、いろんな場所でB案を見つけておきましょう。そしてその場所も一度は通っておきましょう。

3. 速度が乗る場所、急減速する場所、落差がある場所は特に気をつけて

 

普段から僕は「ある程度はコケることも前提に練習した方がよい」と述べています。コケたことがないと、自転車の不安定な挙動に触れることができませんし、受け身の取り方もわかりません。ただし、コケて良い場所は、あくまで低速で路面が固くない場所に限ります。怪我します。

特に大きな怪我になりやすいのは、「速度が乗る場所」「急減速する場所」「落差がある場所」です。落車した際に、人間の身体がエネルギーを受け止められないような場所です。こういう場所こそ、念入りに下見をし、石が転がっていないか?根っこが埋まっていないか?砂が浮いていないか?などなど、全体をよく見ておきましょう。

4. そのライン取り、レースで繰り返し行ってミスしませんか

最後は、自分との対話です。速く走れそうなラインを見つけても、心拍が最大値のときにミスせず走れますか?10回やってもミスしませんか?僕は少なくとも試走で3回連続でちゃんと通れなかったルートは使いません。必ずミスします。誰かが通れていたからといって、自分がこなせるとは限りません。あくまで自分が確実にできるラインをレース前に必ず見つけておきます。心配ごとは試走でなくしておきましょう。

最後に

ちなみに、レース中の「なぜミスしたかわからない」は結構ヤバいです。

レース中のミスにも色々あります。ペダルを踏み外したり、狙ったところにタイヤが落とせなかったり、理由は様々でしょう。しかし良くないのは「なぜミスしたかわからない」ミスです。レースを振り返ったときにミスした原因が思いつかない場合は、試走心得を忘れているかもしれません。こういうミスをした場合こそ、試走のやり方を改善するチャンスです。

プロ選手でも同じ箇所を何度も試走することがあります。それは毎週回同じように走り切れるのかを自分に問いかけてるようにも見えます。ですが、そうやってこの人は上手くなっていったんだろうとも思えます。

いわゆるテクニックではない、明日から使える心得。参考になれば幸いです。

シクロクロスで怪我をしないための試走心得

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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