日本初のピストクリテリウム、sfiDARE CRITに参加しました。
全体のレースの模様や主催者児玉さんへのインタビューをcyclowiredさんに寄稿しています。ぜひこちらも合わせてご覧ください。僕個人的には後方でヒーヒー言いながらレースを周回していたので、そんな位置からですが少し体感したことを。
前日のBikeLore白州から戻ってきての参戦、BMXのショーとレース2本で結構身体はボロボロだったのですが、とりあえず「やってみたい」という気持ちでスタートグリッドに並びました。直前の平田クリテを見ていても到底前を牽いたり、果敢なアタックも出来る余裕なさそうなので、とりあえずクラッシュだけないようにスルスル効率良いライン取りを心がけました。
バイクは普段トラックで使用している All-City Cycles Thunderdome。ギア比は50×16の3.125。周りは48×16が多かったので少し重め?でした。が、何ぶん初めてのことなので他には52×15とか、逆に2.8くらいのギア比だったりみんなバラバラ加減が面白い。自転車もアルミが多いものの、クロモリのメッセンジャー仕様だったり、児玉さんが作っているsfiDAREのカーボンだったり。国籍、出身競技もバラッバラ。
レースの展開的には、足があるのは当然ながら、コーナーを如何にすり抜けるかでかなり差が出たように思います。なにせ安全装置のブレーキが付いていないので、一度コーナーに侵入してしまったら、その速度から逃げようがありません。部長が試走でかなりタイトにコーナー攻めてて、メッチャクチャ速かった。
コーナー後の強風で見事に千切れてしまうのですが、12周もすると徐々に「慣れ」てきます。ブレーキが付いていないぞ、というルール上の脳内情報は薄れていき、握りしめているドロップバーとペダル、路面に接しているタイヤからの情報が段々研ぎ澄まされていき、自転車と自分が一体物になっていく感覚が楽しかったです。
例えばロードバイクで峠をハイスピードで降っている際、直線ではしっかりペダリングして加速、コーナー手前できっちり抜重してブレーキング、そしてタイヤをグリップさせてコーナリング、また加速・・・という各項目が独立して脳内処理されます。が、ピストクリテリウムでは全部の動作に区切りが無く、全て流れで作業をしていく感じです。
危険性に関してあーだこーだありそうですが、普通のクリテリウムとリスクについてはそう変わりないと思います。クリテリウムでの落車は結構な数目にしましたが、ペダル擦ったりハスったりが殆ど。これはピストでも同じことですが「ブレーキ付いていないから」という理由が必ずしも落車に直結するとは思いません。
というのも、コーナーをオーバースピードで侵入すれば間違いなく止まれず100%落車します。まず自分の技量を超えたスピードで突っ込んでみようという発想になりません。レースで熱くなっても一番優先される事項に思います。確かにブレーキが無い分、下手にコーナーでイン側付かれることもありませんし、キッチリみな同じラインを走るもんです。クロスだと、相手にブレーキングさせる前提でイン付いたりする人も居ますしね。
RedHookCritが徐々にメディアに取り上げられ出した数年前、正直僕も「なんて危ないレースだ!こりゃ長続きしないだろうなぁ」と感じました。日本でピストが流行った当時、ブレーキレスが社会的な問題に発展してしまった、そして以前からブレーキレスでも街に溶け込んでいたBMXライダーたちが巻き添え喰らったというネガティブな要因で、公道でピストを走らせることを良い目で見られませんでした。
ですが、昨今の盛り上がりを目にして、生半可な競技でないことを理解しました。人気が増すのと同時に、某メーカーが各ステージ毎新しいグラフィックのジャージとバイクを用意するなど、その熱狂ぶりを感じます。
イベントを仕掛ける側のスキルも大いにあるでしょうが、根源的にはピストクリテリウムが持つポテンシャルを多くの人が理解してきた故の出来事なのだと感じました。
sfiDARE CRIT:https://www.104cycle.com/race-info/sfidare-crit/
All picture taken by : Yoshihide Maekawa