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Photo : Kenji Muto Quiróz

山梨県はウイスキーやワインの名産地、白州へ足を運んできました。北アルプス・南アルプス、八ヶ岳に囲まれた絶景を有するこの場所で「バイクロア 白州」というイベントへ参加したのです。

バイクロア、は、大人がアウトドアで一生懸命遊べる自転車イベント。白州では自然豊かな森のコースでレースを楽しめるのと、キャンプも満喫できます。僕にとってはシクロクロスのオフシーズンで、ゆったり参加させていただく恒例行事となっていますが、今年は例年と違うハプニングが。【BMXのジャンプショー】に参加させていただくこととなりました。

国内のトップライダーたちが魅せるジャンプのデモンストレーション、実は企画自体もトップのライダーが担っています。海外ではナイトロサーカスのような大規模なスタントショーが華やかに開催されていますが、国内で活動する彼らを、実際に参加したライダー目線で、内側からご紹介したいと思います。

<YBPとは>

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Photo : Kenji Muto Quiróz

僕が今回参加させてもらったのは、YBP PROJECTがプロデュースするジャンプショーである “Air Trick Show”。栗瀬裕太という関西出身のプロBMX/MTBライダーが、長年の夢であったYBP(Yuta’s Bike Park)というダート施設を山梨県北杜市に3年半掛けて自らこしらえ、常設で運営しています。YBPを運営するYBP PROJECTがシーンを広げ、盛り上げるべく企画しているのがこのショーなのです。

実を言えば裕太くんとは、僕がBMXを始めた20年くらい前からの付き合い。海外での転戦経験も多いトップ選手なのですが、とにかく気持ちの熱い男で、僕が以前開催していた大会にも遠路はるばる顔を出してくれて、デカいトリックで会場を沸かせてさらっと帰っていくようなライダー。

僕は大したトリックも出来やしないのですが、バイクロアとシクロクロス、そしてBMXという縁でお声掛けいただいた訳です。

<参加ライダー>

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Photo : Kenji Muto Quiróz

長年シーンに携わっている僕自身、ショーやコンテストの経験はそれなりにあり、頻度は別として場数は少なくないつもりです。ですが、下に登場する映像にもあるように何故にここまで緊張していたのか・・・。

何よりの理由は、今回参加しているライダーの顔ぶれです。メンバーは国内のシーンではトップ中のトップ。簡単に説明すると・・・。

国内最大規模のコンテストで連続で優勝ダブルバックフリップを国内唯一メイクする高木 聖雄、メンバー最年長ながら2016年度の全日本選手権優勝者の大西 勘弥、自ら地元三重にスポンジプール=練習施設を作り上げて自身も表彰台常連の 西 昂世、日本人BMXストリート唯一のRedBullライダーで若干16歳の中村 輪夢、そして国内MTBダートジャンプのトップ選手でBMXと遜色ないトリックを繰り出す永井 秀夫

ちなみにこのショー自体は永井くんが代表を務めるJumpers Storeがライダーの選定・当日の運営を行っていて、全国へショー用のランプを運ぶ為ピックアップトラックに機材を積み込み、遠征を繰り返しています。

説明を書いている時点で「よくまぁこのメンバーとやること分かってて、OKしたよなぁ」と命知らずな自分を褒めております。

<トリック>

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Photo : Kenji Muto Quiróz

BMXライダーとは、割と行き当たりばったりで破天荒なイメージもあるものですが、ショーを行うにあたっては綿密な打ち合わせがあります。各ライダー得意科目や、同じ技をするにしても派手さが多少違うので、ジャンプする順番や、どんなトリックをするのか事前に工程用紙に書き出されます。

案の定、自分の持ち技の少なさから身の縮む思いをしていたわけですが、この時点で他の皆から飛び出す技名がトンデモナイ難易度な訳です。後方一回転するバックフリップは彼らにとって馴染みのトリック、そこにノーハンド、テイルウィップ、スーパーマン、遂にはフロントフリップ(前回り、こっちの方がジャンプの動きに反して難易度が高い)にノーハンド足すと・・・。

彼らとはレベルは違えど何度もコンテストを共にし、普段大会などでどういうトリックに挑戦しているか知っています。だからこそわかるんですが、、、何でたかだかショーでそこまで攻めた技をやるの!!やっぱり破天荒なイメージで違いなかったんじゃなかろうか。

今回は、やや傾斜になった砂利の上にランプを設置したこともあり、初めての自分にとってはかなりの苦戦を強いられました。その点は長年やっている他のライダーも同じくで、スピードの調節などがシビアになるわけです。それでも臆することはなくガンガントリックにトライしていくのです。もちろんクラッシュもするし、それでもメイクするまでトライするんです。

なぜそこまでやるのか、ショーを最後まで特等席で見届けたおかげであることが理解できました。

<ライダーの夢を繋ぐ>

僕なんかでも、彼らが本当難しい技にチャレンジして場を盛り上げているのを見ると、自分の出来る一番難しいことにチャレンジしよう!となってですね、かなり久しぶりにテイルウィップ(自転車のフレームを一回転させる技)にトライしました。ランプ自体が大きく滞空時間も長いので落ち着いてトライでき、なんとか一回でランディングできました。極度の緊張状態から解放されて、うおおおっと雄叫びをあげてたのですが、パッと見ると物凄く盛り上がっているのは僕だけじゃなく、見ていた子供達が物凄い勢いでハイタッチを求めてきてくれたんですね。

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Photo : Kenji Muto Quiróz

イベント自体は大人の参加がほとんどを占める空間でしたが、連れられて来たキッズたちが洩れなくその場に集っていたようでした。一回一回僕たちが飛ぶごとにハイテンションで喜びを表現してくれて、必ずハイタッチ。

ショーが終わっても、ひと段落する僕ら目掛けてキッズたちが飛んできてサイン攻め。こういう場で、ショーをしたライダーたちは気を緩めず、自分たちが目指している夢や活動をシェアするのです。

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Photo : Kenji Muto Quiróz

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Photo : Kenji Muto Quiróz

例えば前述の1040(トシオ)こと高木 聖雄は、BMXの活動でご飯を食べています。プロ活動を支援する企業なんてのも最初からは存在していないので、自分の足で気になる会社へ出向き活動内容を紹介し、少しでも協賛して貰えるよう動いているのです。その甲斐あって海外に何度も出向いて挑戦をし続けています。

彼らにとって、リスクを負ってでもショーで攻める姿を披露するのは、自分たちの夢を応援してくれるファンを作る場でもあり、それを真っ先に理解するのは子供たちです。まだまだ認知度が高いとは言えないこの競技ですが、Air Trick Show を通じて、シーンが広がっていく姿を目にし、痛く感動するのでした。

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Photo : Kenji Muto Quiróz

Air Trick Show は現在、徐々にその知名度を上げ、様々なイベントで活動をしています。先日は、室屋義秀が2年連続で優勝したRedBull AirRace千葉2017でもショーを披露しています。

BMXシーン的にもガチな彼らが活動する場が、更に広がっていくことを期待してなりません。

Air Trick Show / YBP PROJECT : http://ybp-project.com

 

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BMXのAir Trick Showに「参加」した話。

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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