法定点検

コンスタントにブログを書いていて、意外と僕の拙い文章でも人様のお役に立っているのか、わりと毎日のアクセスが増えてきていたり。

自転車の話だけでなく、元整備士の経験を生かして自動車のこと、とりわけややこしい 「車検」について書いてみようと思います。

登録申請

先日知人が車検を受けようと思ったときに、インターネットでお店を調べたがあまりにわかりにくく僕に泣きついてきたという話がきっかけもあり。確かに「車検 + 地域」(僕の場合、車検 + 尼崎 とか 車検 + 西宮とか)で調べても、お店の広告や車検ポータルサイトばかり。

ポータルサイトって、見てる本人に判断材料がなければいまいちわかりにくいですよね。実際、正しい情報を探すのも一苦労。車検を受けるにあたって抑えておきたい基本情報ってあまり書いてないのです。

<車検費用の内訳って>

まず抑えておきたいのは費用の内訳です。金額は大きな比較材料のひとつです。

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国などに払うお金 = 諸費用

これは国や保険会社が徴収するお金です。どこで受けても変わらないので、ある意味気にする必要の無い部分です。

車検の基本料金

ブレーキの分解や検査ラインでの作業、陸運局での登録に掛かるコストです。相場はだいたい9,500円から25,000円ほど。大きい車の方が手間暇掛かるので高くなる傾向にあります。
この基本料金と別で「代行手数料」と称して10,000円前後徴収する工場もありますが、これは先述の陸運局での登録費用を別にしている訳です。いまどきは大体基本料金に含むのですが、安い車検は後で追加になったり、見積もりした際に注意して確認すべきです。

追加整備代

車検作業とは別に発生した整備代のことです。例えばエンジンオイルとか、ブレーキパッドの交換など。「車検に通らないので作業すべき項目」もここに含まれます。実際に車検してみないとわからない部分も多く存在しますね。

上記の内容を分けて見るだけでも、随分車検の費用が理解出来ます。

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写真のように「車検整備」の基本料金を安く設定していても、実際受けてみると「ヘッドライト調整料」とか「ショートパーツ」「ブレーキクリーナー」なんかで追加追加させる場合もあるようです。基本料金だけ見ると安く感じるものの、ヘッドライトの調整とか、基本料金に入れておいて欲しいですよね・・・。

<指定工場を選んだ方が断然お得>

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整備工場の種類を知っておくのも重要なポイントで、いわゆる車検工場は2つの種類に分かれます。

認証工場

分解整備等で認可を受けている整備工場です。ただし車検では陸運局へ車両を持ち込んで検査を受けます。

指定工場

工場内に検査をするラインを設置しており、場所の離れた陸運局(この辺だと 神戸の陸運局 は 魚崎 にありますね)へ運ぶ必要がありません。当日上がり、短時間での車検が可能です。運輸局からの認可が必要なのと、定期的な監査があったりと維持も結構大変だそうですが。いわゆる民間車検工場というのがコレです。

前者は陸運局にクルマを運ぶ、後者は運ばない。小規模の場合、指定工場として設備投資や検査員の雇用など大変ですが、クルマを運ぶ手間も費用として計上される訳です。なので、必然的に指定工場の方が安い(か同額ならサービスが充実している)はずですし、単純に自分のクルマを知らない人に公道で走らされるのは嫌だったりもします。

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指定・認証の見分け方としては、掲示してる看板など国土交通相の方に記載はありますが、一番簡単なのは 印紙代 を見ること。指定工場は1,100円認証工場など、自分で陸運局へ持っていくと1,400円または1,700円になるのです。HP等で確認して印紙代が1,100円だと安心です。

さて、上記項目がわかれば実際の工場を比較したいと思います。

<どんなお店を選ぶべきか>

ディーラー

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トヨタや日産など、新車販売を行うディーラーです。新車購入であれば、車検の案内も来るでしょうし、買ったところで受ければその後の保証も安心です。逆に車検だけの一見さんとしては入りにくいかもしれません。いわゆる「ディーラーの車検は高い」という通説は、ディーラー系の整備士に聞いた話だと販売目標がネックになっているようです。「新しいクルマに乗り換えて欲しい」思惑が常に付きまとうので、今回で乗り換えて貰えるよう高い見積もりを出す傾向にある、ということです。例えば、足回りのブーツ部品の破れなども、ブーツ単体で部品が出ていたとしても、”念のために” そのボールジョイントごと見積もりがされていたりする、ということです。

車検専門系

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「速太郎」とか「車検のコバック」とかがこれ。会社の形態としては、もともと”地元のクルマ屋さん”だったような地域に根付いた整備工場がフランチャイズの看板を出している感じです。車検という業務に特化した仕組みを本部が作って、その仕組みで店舗を運営しているわけです。したがってどのレベルで整備をするかは、その各地域の店舗(を運営する会社)に依存することとなります。

ただ比較的この車検専門系が注目されているのは「車検に通る箇所・通らない箇所」を明確に伝えていることが多いので、僕たちユーザーが必要・不要を選択出来るのと、お店の整備士側も「安く的確に提案したい」というプライドがあるので、修理方法を工夫して提案してくれるケースが多いです。限界まで車検費用を安くする方向では無いにしろ、必要なものを適切な金額で提案してくれる、と言えるでしょう。

調べる側としても、フランチャイズ名 + 地域名(例えば コバック + 尼崎など)でもお店がすぐ見つけやすいという利点もあります。

中古車買取・販売店系

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ガリバーが運営するShake!や、CMでお馴染みのBIGモータースがこれに当たります。 BIGモータースはハナテンを買収した大きな会社。オークション会場のHAAもハナテンが運営しているので、規模の大きさが目立ちます。広告宣伝など、本社の直営ならではの運営方法で、若いスタッフ・長時間営業・綺麗な店舗、という三拍子揃った店舗作りが魅力的です。
但し、中古車販売が本来の生業ということが重要で、話のキッカケである友人の見積書を覗いてみて、かなりオススメ整備が追記されていたのも事実。あとキッチリヘッドライト調整料やショートパーツ代を上乗せしているのも、ならではという感じでした。

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カー用品系

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スーパーオートバックスやイエローハットなど、用品販売店です。車検という目的以外でも足を運びやすい為、割と幅広い層に馴染みがあります。

名の知れた大きな会社という点もあるのですが、実は直営とフランチャイズが混在していて、例えばSuper Autobacs系は直営です。どうも直営の方が店舗運営の観点で身動きが取りづらいようで、フランチャイズの方が特別なキャンペーンを行ったり、地域を取り込む動きが上手な店舗も多いイメージがあります。

また、ディーラーあがりのスタッフが多い為、ディーラーに似かよった見積もりが出るケースも多く見られます。実際店舗としても販売に最近力を入れているのか、そういう思惑があるようにも思えますね。

ガソスタ系 / 街の自動車屋系

基本的に認証工場である場合が多い為、先述陸運局までの搬送の手間が工賃に含まれる分、少し勿体ないように思います。ガソリンスタンド系の場合、ガソリン代が安くなるなど利便性も高いのですが、地下ガソリンタンクの点検更新などで廃業に追い込まれる店舗が多い中、長期的な意味で整備を任せることが出来るか、というのは少し疑問です。

また、昔は私の知り合いでも、安価で技術力も高く、非常に良心的な整備工場を営んでる方も沢山おられましたが、後継の問題で店舗を畳んでしまうケースがかなり多く、跡地にマンションが立っていたり、悲しい一面を多く見かけます。

<最後に>

長々と書きましたが、整備業界の人材枯渇が非常に進む昨今。僕たちユーザーが「良い整備工場」を探すのも一苦労です。個人的には、新参で様々なサービスを併設する店舗も魅力的ですが、建物が古くとも、その地域に根ざして長く業務を続けるような整備工場が一番安心だったりするのではないかと思うのです。

少し癖のある整備士の方も、上手に付き合えば親身にクルマに関わるあれこれを教えてくれる良きパートナーになると思いますし、これを読んでいただいた方が、少しでも良い整備工場と出会えることを願います。

「車検にかかる費用」はなぜ高いの?元整備士が教えるホントのところ。

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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