僕のレースシーズンも例に漏れず、拡大するウイルスの影響で突然に幕を下ろしてしまいました。
とは言え、参加者みなが絶賛したゴルフ場でのレースでシーズンを終えたこと。全日本SSCXのタイトルは惜しくも逃してしまいましたが、期間を通して体調を大きく崩すことなくレースに参加出来たことは、アマチュア選手としてとても感慨深く、とても誇らしいものです。

レースというのは常にトライ&エラーの繰り返しで、細かい走りの処理方法から機材の刷新まで色々な気づきがあるものです。過去のシーズンと比較して今年大きく変えたものや、実践してみたこと、使ってみた機材などを羅列してシーズンの締めとしたいと思います。

<フレーム&フォーク>


Photo by KeiTsuji

数年間使用した All-City Cycles “Natureboy853” というモデルが刷新され、同じくシングルスピードの “Natureboy ACE”というモデルで1シーズン走り切りました。スルーアクスル、フラットマウント、軽量化などなどアップデートはかなりあったんですが、ここでは全体的なフィーリングを。

最新機材になって「剛性が上がった」と言ってしまうのは簡単ですが、それによって僕の走りに何が起きたか。特に大きかったのはブレーキングの際の自転車の挙動でしょうか。ヘッド・ハブシャフト、ブレーキマウントなどなど、余計なところに力が逃げないのでブレーキを掛ければ掛けるだけタイヤがキッチリ制動されます。特に速度域の高いレースでは顕著にそれ分かるんですが、高速でコーナーでは慣れれば慣れるほどブレーキレバー握るタイミングが遅くなっていったように思います。(その分ちょっとでも惰性で速く走っていられる)

ただその弊害として、制動時の力が低圧のタイヤ前後2点へ集中して掛かることになるので、タイヤのトレッド・空気圧チョイスは今までと変える必要がありました。タイヤがヨレるほどは低圧にしづらいのと、その分設置面積よりもタイヤのトレッドで止まれるように、トレッドの高いタイヤを好むようになった気がします。

となると走り方もタイヤを滑らせて泳ぐように走るというより、きっちり止まってきっちり加速するイメージが大きくなりました。シーズン序盤はこの負荷に足が耐えきれず、後半ダラダラ垂れていくことが多かったのですが、レースを重ねるに連れて慣れて走りやすくなっていきました。

とは言えドリフトしながら走る感覚も好きなので、来シーズンはローターを小さくしたり、タイヤもトレッド低いものに変えたり、色々試してみたいなと思ったりです。

ちなみにジオメタリもややコンパクトになった印象があり、フィッティングでステム伸ばしたんですが、取り回しは以前よりも良くなったように感じています。特に今シーズンは関西も30cmのシケインが何度か登場し、全周回をバニーホップでクリア出来たのもこの自転車のおかげだと思っています。バニーホップ、飛ぶ直前ってかなり集中するし、体も自転車もブレないようにさせるのが難しいんです。

総括して僕にとってはありがたいモデルチェンジであり、レースでもハードに使う方にはオススメしたい一台だなと感じています。

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・バイクポジション(RETUL FIT)

先のシーズンを終えた直後、まず取り組んだのが自転車のポジション変更でした。今回はお世話になっている芦屋RideWorksさんでSpecializedのRETUL FITをお願いしました。

関節などの可動域を測定しながら、身体全体が無理なく動くポジションを探っていきます。以前の窮屈なポジションから余裕のあるポジションになったことによってペダリングが楽になり、ケイデンスは意識すれば10RPMほどアップするようになりました(ワークアウト時 83RPM平均→93RPM平均)これに慣れてからはトルク出さなくてもワット出るようになったので、練習メニューは徐々にパワーが上がっていきました。

肝心のレースですが、ロードのポジションそのままでも(自転車に対する)身体の位置も悪くないし、操作感を失うこともありませんでしたし、対応できるケイデンスの幅が広がったので、速度が上がって惰性でペダルを回しても気持ち的には楽になったように思います(何せシングルスピードなので)唯一路面からの突き上げが大きいコースでは、身体を上下に動かす幅が狭くなったのでお尻をサドルに擦ってしまうことが増えましたが、その時くらいは少しサドルを下げて対処しても良いなと思います。

何よりポジションに対して迷いもなくなったし、気を散らさずペダルを綺麗に回すことに集中できやすくなったと思っています。

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<身体の使い方、考え方>

さてそうなると気になるのが、自転車の上での身体の位置や支え方です。こちらも以前からお世話になっている “Trainer’s Salon Okada” の岡田先生にお願いし、実際のレースを見て指導してもらいました。先生には普段、身体のケア、コンディショニングの施術をお願いしています。
以前FBにも書きましたが、先生曰く自分は体幹が1時間走る上ではそこまで強くなく、後半疲れてくると肩が上がって体重が前へ前へ移動していくような状態になっている、ということでした。言われてみればレース中の写真を見ても、それが前半なのか後半なのか、自分の身体の状態を見ればわかるほど差があります(速い選手は序盤から最後までポジションが崩れない)こういうことがレース中の細かなミスを増やしますし、大きなクラッシュも元を辿ればこの姿勢が崩れていることに起因するものが多いと感じました。

なかなか無意識に体の状態を維持するのは難しいので、最初は意識をかなりして。徐々に慣れて来て無意識でも保てるように気をつけます。特に砂のマイアミでは後半姿勢が崩れると乗車できなくなる区間もあるので、あのコースでしっかり最後まで轍にタイヤをハメて走れたのは、結果が出たからだと認識しています。

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<ウェア>


Photo by Satoshi Oda

レースで着用するウェアはこの3シーズン、WAVEONEさんにサポートしていただいています。All-City Cyclesには半袖のジャージ・ビブ様々なデザインが用意されていますが、レースで使うワンピースなどはなかったため、オーダーで制作をお願いしています。
デザインは当然アメリカで作られ、そのイラストレーターのデータを本国から取り寄せて、もう一度スーツに合うようにWAVEONEさんで作り直して貰っています。肩周りやセパレート部分など修正する部分も多いのですが、デザイナーの方がメール越しとは言えとても親身に説明&提案してくださいます。オーダージャージと言えば製品の品質もさることながら、初めて注文を入れる人にとってはこの辺の気遣い・ケアがとても安心出来るんじゃないかと思っています。

今季使用させてもらったのは、2アイテム。気温が高い日用の “デュアルスーツ” と 今回満を侍して発売された “シクロクロス用デュアルスーツ” です。

上下一体型の両スーツですが、デュアルスーツはとにかく薄くて汗抜けが良いです。気温が高い日用とは言え、結局12月越えても日によってはこのジャージを使っていて、今シーズンのような暖冬だとまさに重宝する一着だと思います。袖が割と長いので、下着の厚さによって割と幅広い気温に対応できます。

それと今回登場したシクロクロス用のデュアルスーツ。中に起毛が入っている長袖のセパレートワンピースですが、何せこれは着脱がしやすいです。以前普通のワンピースも使っていましたが、肩がキツくて着るが大変でしたが(汗で脱ぐ方が大変かも)セパレートになってからかなり改善されました。
そしてビブの生地もサンプルの時点から何度かアップデートがあり、泥が付いてサドルで擦れても生地が削れにくい=破れにくいものになっています。この辺は自分も含めてサポートライダーに対して小まめなフィードバックを求めるWAVEONEさんらしい商品だと思います。自分の意見が商品になるのも嬉しいことですし。

あとは雨水が浸透しにくい性質があるので、個人的には冬だけでなく大雨だったGrinduroでも大活躍でした。(特に撥水加工などはなく、WAVEONEも公式に雨に強いというアナウンスはしていないのですが、個人的に使っていて寒い日に雨に濡れる=低体温症の可能性を著しく下げてくれたので、これは声を大にして伝えておきたいポイントだったりします)

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Photo by KeiTsuji

という感じで、毎年色々な気づき学びがあって、なかなかこの場で全てを伝えることは難しいですが、同じくシクロクロスを楽しむみなさんに少しでも伝われば幸いです。

2019-2020 CXシーズンを終えて

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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