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アマチュアの、それなりに歴を積み重ねたサイクリスト達が、自分たちの卓越度合いを大雑把に表現する為のチャレンジが日本にはいくつか存在しています。

ロードだと琵琶湖を一周するビワイチ・淡路島を一周するアワイチなど。下準備〜完走まで、達成した記憶がなんとなく自分たちのキャリアに組み込まれます。その場を走ったものにしかわからない共感覚が、その後の酒の席をうまく潤滑させるとかさせないとか。

MTBだと「あぁ、王滝?走ったことあるで」という言葉を幾度となく耳にします。

正式名称「セルフディスカバリーアドベンチャー・イン・王滝クロスマウンテンバイク」20km、42km、100kmとカテゴリーがあり、いわゆる ”王滝走ったことあるで” が使用出来るのは100kmかららしいとか。

チームメイトに誘われ「走ったことあるで」の為に、とりあえずトライしてみることにしました。走り出す理由なんて、シンプルな方が良いと僕は考えるのです。

とは言え、使用した自転車はシングルスピードでフルリジッド。誰の役に立つかわかりませんが、少し特殊な仕様で走ったSDA王滝100kmをレポートしてみたいと思います。

準備編

シンプルな方がMTBはカッコイイ。ここ数年はそういう価値観で自転車に跨っていますが、それはバイクの仕様だけでなく、持ち運ぶ装備品にも同じく。機材トラブルなどのリスクが広くなるMTBであっても、僕はなるべく装備を少なめに工夫しています。なので、ここから説明する準備は割とミニマムな内容なので、ご注意を。

バイク

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All-City Cycles / LogLady Sサイズ
いつも使っている All-City Cycles の LogLady です。シングルスピードのリジッドMTB。こんな見た目ですが、ジオメトリーはだいぶんXCに振ってあって、ちゃんとペダリングすればロスなく良く登ります。

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普段は32 x 18で自走〜山中をこなしていますが、王滝仕様の32 x 20です。SS-MTBで100kmを6時間切る人たちはだいたいこのギア比みたいです。ざっくり想定時間が1時間増える毎リヤコグを1T大きくしても良いんじゃないかと思います。僕は6時間30分で走りきりましたが、後半結構辛かったです。

タイヤ

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・Panaracer / DriverPro PR 27.5
どの径であっても、タイヤはTubeless一択だと思います。大きなサイドカットは仕方ないにしても、ピンホールのパンクはシーラントをたっぷり入れて防げます。後半パンク修理で止まると足の筋肉を硬直させてしまって余計調子悪くなります。

王滝の路面コンディションは、ガレた石が多いのですが、それと同時に凹凸もかなり多く、またコーナーの多くが砂、砂利が浮いています。タイヤのパターンに関して、一概に「これが決定版」というのはなく、選んだタイヤに合わせて走り方を変えるというのが正しい表現かと思います。

僕は長丁場で足への負荷を減らすべく、マラソン系である DriverPro PR を選びました。普段使っているノブが高いタイヤに比べると、走りの軽さが際立っていました。

ですが、いくつかある激坂で立ち漕ぎするときなど、丁寧にトルクを掛けないとトラクションを失ってしまったり、砂利コーナーでかなりフロントタイヤが流れていくので、いつもよりゆっくりコーナーを抜けることになりました(一回思いっきりこけた)

ノブの高いタイヤであれば、登坂でも下りでも安心して突っ込めると思います。走りがもっちゃりする分、SSならばギア比を軽くして挑むのも一つかもしれません。

ウェア

・All-City Cycles / WANGAAA Team Kit
・The Athletic / Team Wooly Mammoth Mitts
・Oakley / RadarEV Prizm Trail Lenz
この日は5月中旬ながら夏日。出走の時間は寒いという触れ込みもありましたが、結局半袖ジャージ、ショーツで出走しました。日焼けで結構体力を消耗するので、焼けたくない方は薄手のアームカバーか、日焼け止めをたくさん塗ることをお勧めします。
グローブはなるべく手の平が厚手のものを選んだのと、サングラスはRadarEV の Prizm Trailを使用しました。日向と日陰で随分明暗に差があることと、兎に角路面状況をしっかり把握することが要なので、ケチらず良いレンズを使うのが良いです。OakleyでもPrizm Roadだと日陰で見えなくなりそう。

工具

写真 2016-07-17 11 54 37

結局使わなかったんですが、用意したのは以下の通り
・RAL / EM LOADER
・チューブ2本
・タイヤブート
・ミニ六角レンチ
・空気入れ
・ボトル
上記 + 補給食をRALのフレームバッグに放り込んでいます。ボトルは、飲み水だけじゃなくて立派な工具だと考えています。後述しますが飲み水はハイドレーションで、ボトルの水は怪我したときに汚れを流したり、パンクしたときにシーラントを流したり、掛け水にして身体を冷やしたり、そういう使い方の為に分けた方が良いです。

補給

・ハイドレーション(1.5L)
・Mag-on エナジージェル
ハイドレーションは今回の為に購入して初めて使いました。見た目は好きではありませんが、便利で驚きました。何せ走り続けないとゴールにたどり着かないので、こういう手間なく補給出来るアイテムは重要です。王滝の路面では、ボトルケージだけだと水分補給が難しくなり、脱水になりかねません。
エナジージェルは特にこだわりがありません。基本的にお腹空く前に摂取するのが良いと思うのですが、僕の場合30〜40分ペースで一個ずつ摂取していました。

マップ&Garmin

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・標高マップ
・Garmin 520J
王滝のコースは春・秋で周回方向が変わるだけで基本的に変更が無いようです。
マップは細かいシートを作っても正直振動で大して見ることが出来ないので、標高マップを印刷して貼り付けておくのが便利です。チームメイトの長谷川さんから以前作ったデータを貰ったのでこちらからどうぞ

スクリーンショット 2017-05-22 13.13.04

あとGarmin520なら・・・既に走ったことある方のStravaログから、各セグメントに★を入れておくと、ライブセグメントで山頂までの残り距離などが表示されて、精神衛生上とても良いです。ちなみに最後の下りは気が遠くなるほど長いので、最後だけは下りのセグメントを入れておくと気が楽です。

ちなみに僕のログはこちら

・・・あと今回は用意しなかったのですが、TOGSを付けて乗ると非常に良いと思います。グリップの内側に取り付けて親指を引っ掛けるアレですが、王滝の下りは突き上げが酷く握力がどんどんやられていくので「登りは手のひらを休める」「下りは足を休める」と割り切ることになります。ちょっとでも手に負荷のかからないポジションで乗れるアイテムは便利だと思います。登りでも多少なりハンドルが暴れるので、後半はブレーキレバーに指を引っ掛けて手を休めつつ登っていました。

ここまでを準備して、いざ王滝村へ。関西から約5時間ほど。中津川ICで降りて、下道を1時間ほど走ります。

 

当日編へ続く。

SDA王滝 100km にシングルスピードのMTBで参加した話(準備編)

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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