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photo : KeiTsuji

シクロクロス用語、なんてものが沢山あってですね。

以前にもブログに書いたように思いますが、”シケイン”、”モゲる”、”ノベヤマ”、、、、などなど。そのひとつでもある ”タレる” という言葉を最近よく耳にします。

タレる、とは。シクロクロスのような短時間高強度なレースにおいて、後半に耐えられなくなってペースが落ちるという意味。「黄金のタレが出たな」なんて関西っぽいギャグが蔓延するのも、それがみんなの関心ごとであるから故だと思うのです。

このタレるという現象は、身体的 / 精神的に何が原因で起こっているのか噛み砕いて羅列してみたいと思います。

1. 心肺機能 / 筋肉の疲労
疲れる、と言っても色々あると思います。一定のペースで走る他競技と違い、シクロクロスはインターバルの応酬。LT値を完全に超えた状態で走ることが多く、その分下りで休んだりなど、ペースを把握することが非常に難しいのです。自分の体力と相談する暇すらなく、気付かぬ間にどんどんペースが遅れていくのは良くある話。

2. 視覚的なペース管理の難しさ
ヒルクライムやTTだと自分でも平均パワーやタイムを目で確認しながら走りますが、シクロクロスのレースだとメーターに目を落として走る暇がない。見ても状況によって殆ど充てにならず、周りとの位置関係や感覚でペースを測るくらいしか手立てがありません。周りのペース自体もコースやお互いの体調によって前後するでしょうし、正確なペース配分を掴むのはやはり自分の感覚になってしまうのです。

3. 精神的なペース維持の難しさ
実はこれが一番厄介です。ライバルに追い抜かれたり、泥で機材から異音が聞こえてきたり、自分の気持ちを妨げる要因がシクロクロスには沢山あります。場合によっては単独で走ることも多く、こうなると疲労や気持ちと戦う精神の強さも必要とされるのです。後述、ギアをどこに入れるか、も悩ましい問題です。

視覚的、精神的疲労に起因する弊害

1つ目の肉体的な問題に関しては、日々の鍛錬で補うしか方法がありませんし、合わせてパワトレやインターバルトレーニングなど具体的な方法論が沢山論じられています。反対に2・3についてはあまり語られることが少ないのも事実。例えばレース前にみっちり自転車をメンテナンスすることも不安要素を減らす方法だと思いますし、しかしもっと簡単な回避方法を、シングルスピードでレースを戦った経験から学ぶことが出来ました。

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上記のログは過去3回分の関西シクロクロス、僕のコース周回タイムです。
希望ヶ丘や桂川では少しミスがあってペースにバラつきもありますが、堺は徹底して同じペースで走れています。ちなみにレース中メーターはポケットにしまってあるので、目視では何もしていません。
そして興味深いのはこの3レースともに観客から「ペースが上がった」と褒められたことです。確かに毎回後半に順位を上げています。しかしペースは上がっていません、多分それは周りがタレてきているから・・・・。

多段ギアではない = 気持ちが負けて軽いギアにしなくて済む

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photo:KeiTsuji

「重いギアで速く回せば、自転車は速く進む」というのはギャグのような本当の話。ただ現実的にヒルクライムなどでタイムを争っている時、一度気持ちで負けて軽いギアにすると歯止めが効かずどんどんタイムが落ちてしまうのも事実。なるべく自分が踏める重いギアをジワジワ踏んでいくのがコツだったりしますし、僕もロードで坂を登る時は自分が入れているギアをかなり意識します。

これはシクロクロスでも同じこと。特にギアのアップダウンも多いレースだと、今自分がどこのギアに入れているかすら分からなくなるものです。以前ChrisKing / Cieloのファクトリーライダー Josh Kelley が来日した際にCXスクールが開かれたそうで、そこで「ギアがどこに入ってるか必ず目で確認するように」とアドバイスがあったそうです。それくらい、今どのギアに入っているか分からないものです。

一度自分が入れたギアの場所を見失うと、更に疲れが溜まるとギアを軽くしがち。ケイデンスが上がるだけでどんどんペースが落ちてしまうわけです。

一方僕はと言えば、強制的に同じギアを踏むしかない。ギア比は相変わらず2.0で走っていますが、前半あんなに軽かったギアが後半シフトアップしたんじゃないかと思うくらい重い。仕方ないので踏むんですが、自分が気持ち良いケイデンスはある程度足が覚えているので、そうなると頑張るんですね。頑張るとペースはキープ出来るものです。
最初は戸惑うのですが、何レースもこなすと慣れてしまって、今は前半後半で重さの違いをそこまで考えなくなりました。

あと、シングルスピードだということだけで、周りと取るラインや侵入スピードが変わることが多く、結果「人のペースを気にしない」「アタックされても基本放っておく」を貫き通しています。なるべくペースを乱さないように走るのは、インターバルの多いシクロクロスでも同じことだと思うのです。

まとめると

最初から最後までなるべく同じギア比を意識して踏む方がペースが乱れにくい
・セクション毎にギア比を覚えてはられないので、ある程度平均のギア比を自分で決めておいて、ことある毎に戻すように意識する
・感覚は当てにならないので目視でギア比を確認

(以上が面倒な場合は ・シングルスピードにする というのもありかも・・・)

 

シングルスピードが教えてくれた、レースで「タレない」シンプルな方法

kossy


自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。 Instagram / Twitter / Facebook


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